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「タリバンの復権」しかり、昨今世界中でメディアの未来予測が外れているのはなぜか?【中田考】

「隣町珈琲」中田考新刊記念&アフガン人道支援チャリティ講演(後編)

レシャード・カレッド医師

 

■アフガニスタンの「正しい支援」のために

 

 最後に、今回はチャリティ・イベントですので、アフガニスタンの支援を行っている「カレーズの会」をご紹介します。「カレーズの会」の代表のレシャード・カレッド先生はアフガニスタンの中でも、まさにタリバンの発祥の地カンダハルのご出身です。京都大学の医学部に入学されてお医者さんになり、日本国籍を取って、現在は静岡県でクリニックを運営されています。レシャード先生との対談はBEST TIMES「タリバンが制圧後の「アフガンの実情」を現地出身の医師に聞く【レシャードカレッド×中田考】第1回」「多民族国家アフガニスタンの知られざる真実【レシャード・カレッド×中田考】第2回」「国際社会や日本人はタリバン政権といかに対峙すべきか?【レシャード・カレッド×中田考】第3回」でも公開していますので、ぜひご覧ください。その弟さんのシェルシャー先生は、カンダハルで学校と診療所を作っています。

 私自身も2010年に現地で見学させてもらっていますが、とてもちゃんとしている組織です。NGO活動に従事された方は分かると思いますが、先進国の援助機関は、国連のようなちゃんとした機関であっても予算の8割は職員の人件費やロジスティクスに費やされてしまい、実際に援助相手の手元に届くのは2割ぐらいだと言われています。

 ところがアフガニスタンの場合は、なんと1%ぐらいしか届かないと言われており、「援助」のほとんどが実際には「中抜き」されており、本当に必要な人々の手に届いていません。

 先日、アフガニスタンの協力支援に関して、ユニセフが医師の給料を、タリバンをバイパスして直接支払うと発表しました。この表向きの理由は「タリバン政権はテロリストだから」ということですが、私は全く信用していません。おそらく現地の協力者たちが中抜きしたいからだろうと思っています。要するにユニセフは現地の言葉ができないわけで、それに協力する現地スタッフはそれにつけこんで自分の利益を貪って至福を肥やす、ユニセフの側もそれは分かっている。ずっとこの20年そうしてきたのですから。それでも1%でも困った人の手に届くなら、ないよりはマシだとは思いますが。

 今回のチャリティで支援する「カレーズの会」は、自分たちで支援を募り活動しています。アフガニスタンが経済制裁になってからも給料も滞っているとのことですので、ご支援を頂けますと嬉しいです。

(「隣町珈琲」講演後編 おわり)

 

構成:甲斐荘秀生

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中田 考

なかた こう

イスラーム法学者

中田考(なかた・こう)
イスラーム法学者。1960年生まれ。同志社大学客員教授。一神教学際研究センター客員フェロー。83年イスラーム入信。ムスリム名ハサン。灘中学校、灘高等学校卒。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院哲学科博士課程修了(哲学博士)。クルアーン釈義免状取得、ハナフィー派法学修学免状取得、在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、山口大学教育学部助教授、同志社大学神学部教授、日本ムスリム協会理事などを歴任。現在、都内要町のイベントバー「エデン」にて若者の人生相談や最新中東事情、さらには萌え系オタク文学などを講義し、20代の学生から迷える中高年層まで絶大なる支持を得ている。著書に『イスラームの論理』、『イスラーム 生と死と聖戦』、『帝国の復興と啓蒙の未来』、『増補新版 イスラーム法とは何か?』、みんなちがって、みんなダメ 身の程を知る劇薬人生論、『13歳からの世界制服』、『俺の妹がカリフなわけがない!』、『ハサン中田考のマンガでわかるイスラーム入門』など多数。近著の、橋爪大三郎氏との共著『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)がAmazon(中国エリア)売れ筋ランキング第1位(2021.9.20現在)である。

 

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